2023年市場予測(2019年比)
~歯周病ケア訴求のPRや製品の増加により潜在需要を掘り起こし、市場拡大~
●洗口剤 325億円(10.9%増)
~歯磨や歯ブラシの基礎アイテムに加えて、使用が増加していることから伸長~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長・清口正夫 03-3664-5811)は、新型コロナウイルス感染症の対策やセルフメディケーション意識の高まりから、高機能製品の需要が増加しているオーラルケア関連製品の国内市場を調査した。
その結果を「オーラルケアマーケティング総覧 2021」 にまとめた。
この調査では、口腔ケア用品7品目、口腔ケア用具・機器8品目、口腔ケア食品4品目、一般用医薬品・医薬部外品8品目の市場を調査・分析した。
各品目の機能別およびライフステージ別市場動向などを捉えたほか、消費者調査では新型コロナウイルス感染症流行に伴うオーラルケア製品の使用頻度の変化や意識・行動変容などを明らかにした。
<調査方法>
富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
<調査期間>
2020年10月~12月
【消費者アンケート調査】
<調査対象>
20~69歳の男女
10,211名
<調査方法>
インターネット調査
<調査期間>
2020年10月
国内のオーラルケア関連製品市場
2020年見込 | 前年比 | 2021年予測 | 2019年比 |
---|---|---|---|
4,096億円 | 100.2% | 4,186億円 | 102.4% |
オーラルケア関連製品は、各自治体でオーラルフレイル(口腔機能の衰え)対策が推進され、オーラルケアが未病管理を含めた対策として認知が進んだことから市場拡大を続けてきた。
歯磨や歯ブラシ、洗口剤の堅調な需要に加え、機能強化を図った製品開発により単価が上昇していることから市場は活性化している。
2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛から、メインチャネルであるドラッグストアへの来店頻度の減少、また、滞在時間が短縮され、オーラルケア関連製品の購入機会が減少したことから上期は苦戦を強いられた。
しかし、下期は店頭でのキャンペーンや消費者のオーラルケアに対するセルフメディケーション意識の高まりから高機能製品が伸び、市場は前年比0.2%増が見込まれる。
今後は、歯周病ケアを訴求するPRや製品がさらに増加することで潜在需要を掘り起こし、市場は拡大するとみられる。
また、マスク着用の定着などにより口臭ケアが再注目され洗口剤の需要が増加しており、歯磨、歯ブラシ、洗口剤を併合した使用が浸透することで市場の活性化が期待される。
歯周病ケア
2020年見込 | 前年比 | 2021年予測 | 2019年比 |
---|---|---|---|
786億円 | 100.0% | 811億円 | 103.2% |
歯磨、歯ブラシ、洗口剤、歯槽膿漏治療剤などで歯周病ケアを訴求する製品を対象とする。
参入各社が歯周病によるオーラルリスクへの警鐘を打ち出したことで、予防のため歯周病ケアに取り組む動きが活発化し、歯磨、歯ブラシだけでなく、洗口剤でも歯周病ケアをシリーズにラインアップするなど、対応製品の間口が広がっている。
また、参入各社は40代以上の成人後期向けを中心に歯槽膿漏予防対策として歯周病ケア訴求を強化しており、市場は拡大している。
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響から、美容ケアなどの機能訴求がマイナスとなる中、歯周病ケアは目立った需要変動はみられず、今後も市場は拡大するとみられる。
注目市場
洗口剤
2020年見込 | 前年比 | 2021年予測 | 2019年比 |
---|---|---|---|
301億円 | 102.7% | 325億円 | 110.9% |
歯を磨いた後の仕上げとして使用する洗口液と、 歯ブラシでブラッシングすることで効果を発揮する液体歯磨を対象とする。
洗口剤は 歯磨や歯ブラシと比べ使用経験率が低 いため 、伸びしろの大きい市場として 注目されている。
口臭ケアに加え、研磨剤を含まないことや ゆすぎ不要を売りにした液体歯磨も登場し、市場は堅調に 拡大している。
2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりマスク着用が定着したことで口臭ケアが再注目され、歯磨や歯ブラシの基礎アイテムに加えて洗口剤の使用が増加していることから市場は拡大するとみられる。
鎮咳去痰剤 (トローチ/のど飴タイプ/その他)
2020年見込 | 前年比 | 2021年予測 | 2019年比 |
---|---|---|---|
176億円 | 110.7% | 153億円 | 96.2% |
鎮咳去痰剤(トローチ/のど飴タイプ/その他)は生薬配合のロングセラー製品の底堅い需要に支えられてきた。
参入各社の積極的なプロモーション活動により、若年層やインバウンド需要を取り込んだことから2015年と2017年に大幅な市場拡大となった。
2018年以降は食品規格ののど飴でも高機能化が進んだことで競合が激化し、インバウンド需要も減少したことから市場は伸び悩んだ。
2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いインバウンド需要はほぼ消失する一方 、感染症対策全般への関心が高まり、鎮咳去痰剤の即効性の高さが改めて評価されたことから市場が活性化し、前年比10.7%増が見込まれる。
特需となった2020年をピークに、2021年以降、市場は縮小するとみられる。
うがい薬
2020年見込 | 前年比 | 2021年予測 | 2019年比 |
---|---|---|---|
89億円 | 167.9% | 62億円 | 117.0% |
うがい薬はインフルエンザなど感染症の流行の有無に左右される傾向にあるが、近年は感染症の大きな流行がなかったため、市場は低迷していた。
2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大から、手洗い・うがいの徹底が推奨され、4~5月に需要が大幅に増加したことに加え、ポビドンヨードを含むうがい薬の使用が一部で推奨されたことから需要が急増し、市場は前年比67.9%増が見込まれる。
特需となった2020年をピークに、2021年以降、市場は縮小するとみられる。
消費者アンケート調査
新型コロナウイルス感染症による意識・行動変容
※N=1000
意識・行動変容 | 意識・行動変容群のウエイト | |
---|---|---|
全体:20〜69歳 | 低年齢層:20〜29歳 | |
歯医者に気軽に行かなくなった | 34.7% | 37.0% |
咳や痰が気になるようになった | 30.8% | 32.0% |
口の中の衛星が気になるようになった | 29.9% | 35.0% |
歯磨きが丁寧になった | 29.1% | 41.0% |
喉の痛みやイガイガが気になるようになった | 27.6% | 32.0% |
口臭が気になるようになった | 25.4% | 36.0% |
歯磨きの回数が増えた | 22.2% | 32.0% |
歯の汚れや黄ばみが気になるようになった | 20.9% | 31.0% |
歯周病が気になるようになった | 20.3% | 28.0% |
舌の汚れが気になるようになった | 17.8% | 25.5% |
※「そう思う」もしくは「やや思う」 の回答を “意識・行動変容群”とする。
新型コロナウイルス感染症 に よる意識・行動 変容 としては、「歯医者に気軽にいかなくなった」「咳や痰が気になるようになった」「口の中の衛生が気になるようになった」で特に「そう思う」の回答が多かった。
年齢層別では、「歯磨きの回数が増えた」「歯磨きが丁寧になった」「口臭が気になるようになった」「歯周病が気になるようになった」「歯の汚れや黄ばみが気になるようになった」「舌の汚れが気になるようになった」の回答において、低年齢層ほどオーラルケアに対する意識・行動が変化 している傾向がみ られた。
調査対象
口腔ケア用品 | 歯磨、義歯安定剤、洗口剤、口腔保湿剤、口中清涼剤 、ホワイトニング関連用品、義歯洗浄剤 |
---|---|
口腔ケア用具・機器 | 歯ブラシ、歯間ブラシ、電動歯ブラシ、舌クリーナー、口腔洗浄器、介護用口腔ウェットティシュ、デンタルフロス、介護用口腔スポンジブラシ |
口腔ケア食品 | オーラルケアガム、口中清涼菓子、のど飴(食品)、オーラルケアサプリメント |
一般用医薬品・医薬部外品 | 歯槽膿漏治療剤、鎮咳去痰剤 (トローチ/のど飴タイプ/その他)、外用歯痛剤、鎮咳去痰剤 (経口服用タイプ)、うがい薬、殺菌塗布剤、口内炎治療剤、むし歯予防薬 |
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル