エステティシャンとして働き、いずれは独立して自分のサロンを開業するのが夢という方もいるでしょう。
しかし、そのためにはエステティシャンの仕事や、サロン開業の仕方についてしっかり理解しておく必要があります。
そこで今回は、エステティシャンになる方法とサロン開業に必要な準備について解説していきます。
最後に、経営者として働くエステティシャンの仕事内容もご紹介しているので、エステティシャンやサロン開業を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
エステティシャンに資格は必要?
まずは、サロンを開業するにあたってエステティシャンの資格は必要か、という疑問について解説していきます。
エステティシャンという資格はない
エステティシャンとは、フェイシャルやボディ、脱毛などのエステティック業務に携わる技術者のことをいいます。
主な仕事はハンドや機械、化粧品などを使って、肌を美化したり体型を整えたりする施術や指導を行うことです。
なお、日本国内において「エステティシャン」という国家資格はなく、エステについてまったく知識がない人が、エステティシャンと名乗ってエステサロンを開業したとしても違法ではありません。
しかし、実際はエステの知識や技術を持たずに、お客さんに施術を行うことは難しく、ましてやエステサロンを開業して多くの顧客を獲得できるとは考えづらいでしょう。
そこで、美容専門学校やエステ専門のスクールに通うなどして、知識や技術を取得する必要があります。
また、自分でエステサロンを開業する場合はエステサロンに勤務し、ある程度の経験や技術を取得してから、独立開業を目指すのが一般的です。
日本エステティック協会の資格制度を利用する方法も
先述のとおり、エステサロンを開業するのに特別な資格は必要なく、申請しなければならない書類も、税務署に提出する開業届のみです。
しかし、専門的な知識を身に付けたり、お客さんの信頼を獲得したりするため、「日本エステティック協会」の資格制度を利用している人は多くいます。
日本エステティック協会の会員になると、例えば基本的な知識・技術を持ち、担当範囲のエステサービスを適切に提供できる能力を有するエステシャンに与えられる「AJESTHE認定エステティシャン」という資格を目指せます。
この資格を取得するには「エステティシャンセンター試験に合格すること」と、「協会認定校で300時間以上のコースまたは1,000時間以上のコースを修了するか、1年以上の実務経験を積むこと」という2つの要件を満たさなければなりません。
他にも、「AJESTHE認定上級エステティシャン」や「AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー」などの資格があり、技術と信頼を獲得したい人におすすめです。
サロン開業に必要な準備
続いて、サロン開業に必要な準備についてご紹介します。
物件を探す
自宅で開業する場合を除いて、まず準備しなければならないのが物件です。
物件選びにおいては、地域性とターゲット層にマッチした立地を選ぶことがポイントとなります。
例えば都心部で会社員をターゲットにするなら、駅から5分以内の物件が良いですし、車が多い地域で主婦をターゲットにするなら、エステの帰りに買い物ができるスーパー近くの住宅地がおすすめです。
また、提供するサービスに必要な設備を置ける十分なスペースがあるかも、確認しておいてください。
資金を調達する
エステサロンを開業するには、多くの資金がかかります。
物件によっても異なりますが、初期費用だけでも、自宅で50万~100万円、賃貸で100万円~500万円程度かかると考えておきましょう。
できるだけ自己資金を貯めておくことが大切ですが、すべてを自己資金で賄うのは困難です。
国が100%出資している日本政策金融公庫では創業支援も積極的に行っており、民間の金融機関よりも融資を受けやすいので、利用を検討してみましょう。
また、要件を満たせば、国や地方自治体からの助成金や補助金を活用することも可能です。
設備や機材を揃える
サロンを開業するには設備や機材も揃えなければなりません。
提供するサービスの種類にかかわらず、最低限必要となるのが、ベッドやスツール、ワゴンなどです。
これらを選ぶ際はお客さんの使い心地が良いものであることに加えて、エステシャンの使いやすさも考慮すると良いでしょう。
クッション性があるものや、高さ調整ができるものを選べば、エステシャンの負担を軽減できます。
施術に使う機器は、施術内容によって異なり、オイルやスチームだけというケースもあれば、500万円以上する脱毛器を購入するケースもあります。
経営に携わるエステティシャンの仕事
自分でサロンを開業し、経営者としても働いているエステティシャンは、施術や接客などの他にも、こなさなければならない仕事がたくさんあります。
ここからは、経営に携わるエステティシャンの主な仕事内容をご紹介します。
売上管理
経営者として大切な仕事の1つが、売上管理です。
エステサロンの売上は主に「施術」と「物販」の2つに分けられ、それぞれを区別して管理することで、自分のサロンが抱えている課題や改善点を把握できるようになります。
例えば施術の売り上げ目標は達成できているものの、物販の売り上げ目標は達成できていないという場合、物販のセールスをもっと積極的に行っていく必要があるでしょう。
また、その反対の場合はエステティシャンの技術向上を図ったり、施術内容を見直したりするなどして、売上アップを目指します。
顧客データ分析
多くのリピーターを獲得するために欠かせないのが、顧客データの分析です。
顧客データの分析に必要なものとしては、年齢や職業、肌質、来店動機、施術歴、購入品履歴などが挙げられます。
できるだけ詳細なデータを収集・分析し、一人ひとりの好みやニーズを捉えて、それに応えるサービスを提供すると、信頼関係が深まりリピーターにつながります。
さらに、自身のサロンに来店する顧客の中で、最も多い世代や職業などを割り出せば、メインとなるターゲット層が見えてきます。
そのため、SNSやブログ、広告などの内容を、よりターゲット層を意識したものに変えられるのです。
このように、顧客データ分析はリピーターだけでなく、新規顧客獲得にも活用できます。
なお、膨大な顧客データを紙で管理するよりも、顧客管理システムを導入した方が効率的でセキュリティ性も高くなります。
スタッフの採用や教育
サロン経営者としては、スタッフの採用や教育も重要な仕事です。
優秀なスタッフを集めるには、募集活動を行った上で、面接において適性や人柄などを見極めなければなりません。
また、スタッフの技術を向上させるためには、定期的に研修を行う必要があります。
さらに、スタッフの労働時間を適切に管理したり、売上率の高いスタッフにはインセンティブをつけたりして、モチベーションをアップさせることも大切です。
ただ売上を管理するだけでなく、その売上を適宜スタッフに還元していくことが、さらなる収益増加につながります。
今回はエステシャンになる方法やサロン開業の仕方、経営者として働くエステシャンの仕事内容について解説しました。
特別な資格がなくても、エステシャンとしてサロンを開業することは可能ですが、お客さんが満足できるサービスを提供できなければ、早々に経営が立ち行かなくなる可能性が高いでしょう。
サロン経営を成功させるためには、十分な知識や技術を取得すること、開業前にしっかりとした計画を立て準備することが重要です。