個人でサロンを開業する際、運転資金や設備資金といった開業資金が必要です。
個人の貯蓄を自己資金にしたり、融資を受けたりして資金を集める方法がありますが、助成金を活用して開業資金を補助する方法もおすすめです。
そこで今回は、個人サロン開業に必要な資金の目安、助成金を利用するメリットや注意点、サロン開業に使える制度の具体例についてご紹介します。
開業や経営の資金に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。
個人サロン開業で必要になる資金の目安
個人サロンの開業で必要になる資金は、経営スタイルや規模、立地、導入する設備などによって大きく変わってきます。
具体的に必要となる資金の目安は以下のとおりです。
・マンションサロン:150~200万円
・テナントサロン:300~600万円
・出張型サロン:20~50万円
サロンを開業するにあたって、店舗の契約や備品の購入、業務用美容機器の導入、店舗の内装工事などが必要になるので、まとまった資金が必要です。
また、開業時点は多くの収入を見込めないため、当面の運転資金や生活費なども多めに確保することが求められます。
上記の金額は目安であるため、実際には余裕をもって資金を確保しなければなりません。
助成金とは
個人サロン開業の資金調達方法は色々ありますが、助成金を活用するのも一つの選択肢です。
そもそも補助金とは、事業主の支援を目的に資金を受給する制度であり、国や自治体が運営しています。
助成金は主に厚生労働省が主導する制度で、雇用の促進や職場環境の改善などの目的で助成金が支給されています。
基本的に受給要件を満たした上で申請をすれば、一定の助成金を受け取ることが可能です。
助成金と似ている制度に補助金があります。
こちらも事業主を支援するための制度ですが、主に新規事業や創業の促進を目的に補助金を支給する制度となっています。
要件に応じた活動を実施することで、経費の一部として補助金を得ることが可能です。
予算や定員が設定されているため、要件を満たしていても審査に通らないというケースもあります。
なお、助成金と補助金は、制度の種類によって法人税や個人事業主の所得税の対象となることがあるので、事前に確認しておくと安心です。
個人サロン開業で助成金を利用するメリット
個人サロンの開業に助成金を利用することには、様々なメリットがあります。
具体的なメリットは以下のとおりです。
返済がいらない
助成金は基本的に返済がいらないので、ローリスクで資金調達ができます。
融資の場合、利息を加えて元本を返済しなければならず、資金繰りが悪化した時に滞納するリスクがあります。
特に開業時点は資金繰りが悪くなりやすいため、融資にリスクを感じる人は多いでしょう。
しかし、返済不要の助成金が利用できればリスクを抑えて資金調達が可能です。
社会的信用を得られる
助成金の利用は社会的信用を得られることもメリットです。
受給を受けるためには、給付団体の審査を通過しなければなりません。
つまり助成金の受け取り対象になったということは、給付する国や自治体の厳しい審査をクリアした実績となるため、社会的信用を高められます。
今後公的融資を受ける際、有利になる可能性があるでしょう。
制度によっては何度も受給できる
助成金の中には条件を満たせば何度も受給できる制度もあります。
つまり、開業後も助成金を受けて運転資金の足しにすることが可能です。
個人エステの経営が安定するまで助成金の力を借りられることは、強い安心感につながるでしょう。
個人サロン開業で助成金を利用する際の注意点
助成金を利用することには、デメリットとなる部分もあります。
ここで、個人サロン開業で助成金を利用する際に知っておきたい注意点をご紹介します。
要件をよく確認する
助成金は基本的に要件を満たしていれば、受給対象となります。
制度ごとに異なる要件が設定されているので、対象者に当てはまるのか確認しましょう。
助成金の場合、従業員の雇用を全体としている制度がほとんどです。
そのため、個人事業主1人で開業・経営する場合は対象から外れる可能性があるので注意しましょう。
受給までに時間がかかる
助成金は受給までに時間がかかることも注意が必要です。
受け取りのタイミングは事業実施後となるのが基本であるため、支給が決定したとしても、受給されるまでの開業資金は自分自身で確保しなければなりません。
書類不備や申請期限に注意する
助成金を申請するにあたって申請書や事業計画書、財務諸表などの書類が必要です。
書類の不足や不備があると、修正や再提出を求められることになります。
また、助成金制度によっては申請期限があるため、それに間に合わないと助成金を受けることができません。
書類集めで時間がかかることがあるので、必要な書類と申請期限を確認し、時間に余裕をもって準備を進めましょう。
個人サロン開業に使える助成金5選
個人サロンの開業で利用できる助成金は色々あります。
ここで参考にサロン開業に利用できる助成金の具体例をご紹介しましょう。
地域雇用開発助成金
事業を行う地域に居住する求職者を雇い入れる際に利用できる助成金です。
サロン開業にあたって従業員を雇用する際におすすめの制度になります。
支給額は労働者数や設備投資額によって異なりますが、最大800万円です。
また、3年間受給(要件を満たせば5年間)できるので、サロン運営の安定化を実現できます。
キャリアアップ助成金
パート・アルバイトといった有期雇用労働者の正社員化や社員の処遇改善の取り組みを実施した際に利用できる助成金です。
例えば、サロンで雇用するパート・アルバイトを正社員に登用したり、賃金の引き上げを行ったりした際に活用でき、資金繰りの安定化を実現できます。
キャリアアップ助成金は複数のコースがあり、コースごとに受給額などが異なるので注意してください。
正社員化コース(中小企業の場合)であれば、有期雇用労働者1人につき80万円、無期雇用労働者は40万円が支給されます。
賃金規定等改定コースでは、賃金を3%以上5%未満増額すると5万円、5%以上増額すると6万5,000円が支給されます。
人材開発支援助成金
事業主が労働者に対して職務に関連した知識・技能の習得を目的に職業訓練の計画に沿って実施した場合に利用できる助成金です。
個人サロンであれば、美容技術の研修や接客スキルを上げるために教育訓練を実施した際に利用することが可能です。
この制度では人材育成支援コースや教育訓練休暇等給付コースなど複数のコースがあり、目的や補助率などに細かい違いがあります。
いずれのコースでも、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部として助成金を受け取ることが可能です。
業務改善助成金
生産性の向上や労働能率の増進するために設備投資と同時に、賃金引き上げを行う際の費用の一部を助成する制度です。
個人サロンの業務効率化を目的に機械導入や店舗の改装などを行いつつ、従業員の賃金を引き上げる場合に利用できます。
賃金の引き上げ幅や企業規模によって支給額は異なりますが、最大600万円となっています。
両立支援等補助金
仕事と育児・介護の両立支援に取り組むことで利用できる助成金です。
具体的には育児・介護休業制度の整備や短時間勤務の導入など制度の整備や、利用実績に応じて助成金が支給されます。
複数回受給できるので、資金繰りや経営の安定化に役立つでしょう。
出生時両立支援コースや育児休業等支援コースなど複数のコースがあるため、自分のサロンに適したコースを選択できます。
助成金は厳しい要件や審査がありますが、支給されたお金は返済不要という点が魅力です。
開業時点は収入が不安定であるため、いきなり高額の融資を受けることに不安がある人は多いでしょう。
しかし、目的に合わせて助成金を受けられるのであれば、借入額を減らすことができ、金銭的な負担を抑えることが可能です。
ご紹介した制度以外に自治体が独自に実施している助成金を利用できることもあるので、個人サロン開業を検討している際は、利用できる助成金制度がないかチェックしてみましょう。