近年美容業界では、健康寿命や生活の質向上に注目する方が多くなったことで、体の不自由な方や年配の方を対象とした介護エステが広がりを見せています。
エステサロンというと、若い女性をターゲットにした美容サロンをイメージされる方が多いでしょう。
しかし、高齢者や介護が必要な方向けの介護エステを開業することもメリットが多いのです。
今回は、介護エステを開業するメリットや開業方法などについてご紹介します。
介護エステに興味がある方や、介護エステサロンの開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護エステを開業するメリット
エステサロンは様々な開業スタイルがありますが、中でも介護エステを開業することで得られるメリットはたくさんあります。
まずは、介護エステを開業するメリットをご紹介します。
ニーズが高くリピーターを増やしやすい
近年、国内では高齢化が深刻化しており、高齢者や介護を要する方はどんどん増え続けているのが実態です。
介護エステは、外出が困難な方でもマッサージや運動サポートなどのサービスが気軽に受けられます。
また、介護エステは、通常のエステサロンで提供しているエステに比べると、美容に特化したものよりも身体機能の維持や改善につながるようなメニューが多いです。
例えば、リンパマッサージや足裏ケア、腹部マッサージなどは、体のむくみ解消や歩行のサポートなど身体機能の維持・改善につながります。
もちろん、美容に関心を持つ方は年齢や性別に関係ないため、従来のエステサロンにあるような美容を楽しめるメニューも提供できます。
高齢者や介護が必要な方は心身のケアを求める方が多く、生活の質を向上できる介護エステはニーズが高いのです。
介護エステはまだまだ競合も少ないので、信頼を得られればリピーターが増加する可能性も高いでしょう。
幅広いサービスが可能
介護エステは店舗に来店してもらうのはもちろん、訪問や出張でサービスを提供することもできるので、幅広いサービスで販路を拡大しやすいです。
特に高齢者や体が不自由な方は外出を制限されている方が多く、自宅で施術を受けられる訪問や出張型のサービスは需要が高いので、定期的な契約を得られる可能性も高いです。
お客様の自宅だけでなく高齢者施設に訪問したり、オンラインで身体機能維持・強化につながるアドバイスやサポートを提供したりする方法もあります。
医療や介護の資格を有している方は、専門知識を活かしたシニア向けのサービスを構築するのも良いでしょう。
付加価値を盛り込むことができれば、他の介護エステとの差別化も図れます。
初期投資が少なくて済む
どのようなサロン形態にするかによって変わってきますが、介護エステは少ない投資で開業できる点も大きなメリットです。
仮に訪問・出張サロンに特化した介護エステを開業するのであれば、店舗を持つ必要がないため、家賃・光熱費などの費用がかかりません。
サービスを提供するのに必要なものだけ揃えれば良いので、初期投資を抑えたいという方にとってもおすすめです。
固定費が少なく利益率は高いので、初期投資を抑えて開業し、軌道に乗ってきたら改めて店舗を構えるという方法もあります。
柔軟な働き方ができる
介護エステは、自由な働き方がしやすく、融通が利きやすい点もメリットです。
ポイントは、予約制のサロンにすることです。
完全予約制にすれば、お客様からの予約に応じてスケジュールを組めるようになるので、家事や育児の合間で働くこともできます。
空いた時間を有効活用しやすいため、副業やダブルワークで介護エステを開業する方も少なくありません。
リピーターが増えて経営も軌道に乗ってくれば、本業にしてしっかりとした収入を得ることも十分に可能です。
ターゲットは高齢者だけではない!介護エステによって提供できる効果とは
介護エステは、その名の通り体が不自由な方や高齢者など、介護を必要とする方向けのエステサロンです。
気軽に外出することが困難で、サロンに行きたくても行けずに悩んでいる方も多いでしょう。
しかし、ターゲットは決して高齢者だけではありません。
介護エステのターゲットになり得るのは、高齢者以外には以下のような方が挙げられます。
・子育て中で外出できない方
・ケガや療養中で外出できない方
・普段から家族の介護・看病をしている方
・移動手段がない方
・近くにエステサロンがない方
・普段から家族の介護や看病をしている方
・エステサロンではなく、婚礼や式典等で特定の場所で利用したい方
介護エステは、自宅サロンやテナントサロンなど店舗を持つこともできますが、店舗を持たずに出張エステや訪問エステの提供も可能です。
そのため、介護が必要な方や高齢者のみならず、妊産婦や子育て中の女性、ケガや療養中の方など、サロンに足を運ぶことが困難な多くの方が利用しやすい点が魅力です。
外出が困難であるということは、日常的に自由な時間が少ないという証拠でもあります。
しかし、体を動かす機会が少ない方は体調不良につながるばかりか、自由に動けないことへのストレスがたまったり、孤独を感じたりする可能性があり、心身ともに悪影響を及ぼします。
そんな中、介護エステはお客様の所へ出向いてマッサージやリラクゼーションを提供できるため、筋力の維持・強化やむくみ防止・血行不良改善など、体調を整える効果が期待できるのです。
同時に、普段話さない人物とのコミュニケーションや肌の触れ合いによって幸福感も増し、ストレス軽減にもつながります。
孤独で引きこもりがちな方であれば、ドーパミンの分泌が促されることで行動意欲が増す可能性もあるでしょう。
介護エステサロンの開業方法
ここからは、介護エステサロンを開業するための方法をご紹介しましょう。
コンセプト・ターゲット層を決める
まずは、どのようなサロンにしたいのかコンセプトを決めます。
介護サロンと言っても、固定費のかからない出張サロンにするのか、自宅サロン・テナントサロン・マンションサロンなど、開業方法は様々です。
店舗を持つのであれば出店エリアや立地も含め、どのようなターゲットにどのようなサービスを提供したいのか考えていく必要があります。
コンセプトとターゲット層が決まれば、それに基づいてサービスの内容や価格設定ができます。
必要なスキル・資格の習得
エステサロンの開業には、特別な資格は必要ありません。
しかし、何らかの資格を有していることは自分の知識や技術力の証明につながるため、コンセプトに基づいて必要なスキルや資格を取得しておくことをおすすめします。
資格があれば、お客様に適切な対応ができると同時に、安心感を与えることにもつながります。
介護エステを開業する場合には、美容関係のスクールで学んでスキルや資格を取得するだけでなく、介護や医療の資格を取得するのも良いでしょう。
介護職員初任者研修や介護福祉士、柔道整復師など、介護や医療の資格を取得しておくことで、介護分野や医療分野の視点を持った質の高いサービスが提供できます。
開業資金の確保
初期投資はもちろん、事業が軌道に乗るまでの運転資金を含め、十分な開業資金を準備します。
特に自宅サロンやテナントサロンなど実店舗を持つ場合は、固定費が多くかかってくるため、余裕を持って準備しましょう。
運転資金は、3ヶ月~6ヶ月分の費用を用意しておくと安心です。
個人事業主を対象にした補助金や助成金制度を活用するのもおすすめです。
開業手続き
介護エステの開業には、美容所開設届、個人事業の開業・廃業等届出書、所得税の青色申告承認申請書などの提出が必要です。
特に、個人事業の開業・廃業等届出書に関しては、介護エステを開業してから1ヶ月以内に提出しなければなりません。
また、所得税の青色申告承認申請書を提出しない場合、確定申告で自動的に白色申告となり、節税効果が低くなる可能性があるため、開業届と同時に手続きしましょう。
介護エステは、高齢者や体の不自由な方だけでなく、妊産婦や外出が困難な方など幅広い方をターゲットにできる、ニーズの高いサービスです。
美容だけでなく、健康寿命や生活の質を向上させることができるのは、介護エステならではの強みであり、「いつまでも美しくいたい」「健康でいたい」といった人々の願いを叶えることにつながります。
介護エステに興味がある方や、介護・福祉や医療で得た知識がある方は、介護エステサロンの開業を検討してみてはいかがでしょうか?