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中高齢者においてDHA組成が高いほど血管機能が良好である可能性を確認


サントリーウエルネス(株)健康科学研究所(京都府相楽郡精華町)は、東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査をもとに、中高齢者において血中ドコサヘキサエン酸(以下:DHA)組成が高いほど血管機能が良好である可能性を確認し、第44回日本臨床栄養学会総会・第43回日本臨床栄養協会総会・第20回大連合大会で発表しました。

長鎖不飽和脂肪酸であるDHAやエイコサペンタエン酸(以下:EPA)は、循環器疾患予防に対する有効性が多く報告されています。
循環器疾患の発症には、血管の機能低下や形態変化を伴うことがわかっており、血管内皮機能の指標である血流依存性血管拡張反応(以下:FMD)や、血管の柔らかさの指標である脈波伝播速度(以下:PWV)、血管壁の厚みの指標である内膜中膜複合体厚(以下:IMT)などによって評価されます。
加齢に伴い、FMDは低下し、PWV・IMTは増加することが知られていますが、これらの一連の血管機能と血中DHAやEPA量との関係性は今まで明らかになっていませんでした。

東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査に参加した50歳から74歳の男女で、非喫煙者かつ糖尿病の罹患歴や調整因子(生活習慣など)の欠損値が含まれない286名を対象に、血管機能検査値や臨床検査値、生活習慣などを含む情報および血漿をToMMoより入手、加齢に伴う血管機能の変化を解析し、またガスクロマトグラフィーにより分析した血漿リン脂質中の脂肪酸組成をもとに4つのグループに分け、DHA・EPA組成の少ない順に第1、第2、第3、第4グループと分割し、DHA・EPA組成と、FMD・PWVおよびIMTとの関連について解析しました。

その結果、加齢に伴いFMDは有意に低下した一方で、PWVおよびIMTは有意に増加しました。DHA組成について、最も組成の低い第1グループと比べて最も組成の高い第4グループではFMDが有意に高くなり、PWVおよびIMTは反対に有意に低くなりました。
EPA組成については、FMD、PWVおよびIMTとの関係性は認められませんでした。
なお、対象者全体のDHA組成とEPA組成の平均値は、各々8.1%、3.1%であり、国内の同年代の集団を対象とする調査報告と同程度の値でした。

これらのことから、中高齢者の加齢に伴う血管の老化に対して、高い血中DHA量は血管機能を介した血管の老化抑制に寄与する可能性が示唆されました。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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