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2024年4月施行「医師の働き方改革」 3割の医師が「収入に影響あり・減少する」不安を抱く


リクルートメディカルキャリア(本社東京都千代田区)は、メドピア(東京都中央区) と共同し、メドピアの運営する医師専用コミュニティサイト「MedPeer」に登録する医療機関に勤務する医師 2,045 人を対象に、医師の働き方改革に関する意識についてアンケート調査を実施し、その結果を同社が解説していますので紹介します。

最初に、医師の働き方改革により長時間労働が改善されることへの期待度を聞いていますが、「どちらともいえない」と回答した人が最も多く 39.6%、「とても期待している」、「期待している」は合わせて 32.4%でした。(グラフ1)

グラフ1

医師の働き方改革について、期待していることを聞いた質問で最も多かった回答が「休日・休暇が十分に取れること(49.6%)」でした。一般企業には 2019年4月より施行されている法令ですが、5年の猶予期間を経て医療機関にも2024年4月から施行されますが、医師の健康を確保し医療体制を維持していくために、働き方改革による医師の長時間労働の改善が期待されます。(グラフ2)

グラフ2

医師の働き方改革には多くの期待が寄せられている一方で、医師の働き方改 革についての不安や懸念もあるようです。最も多かった不安や懸念は「収入減少が見込まれること (51.6%)」でした。(グラフ3)

グラフ3

多くの人が収入への不安を感じている中で、実際の影響についてはどのように感じているでしょうか。現在の職場に勤務し続けた場合、医師の働き方改革によって自身の収入に影響があるかを聞いた質問で、最も多か ったのが「影響なし、維持の見込み(36.7%)」、次いで「影響あり、減少する見込み(32.2%)」となりました。働き方改革によって、3割の医師が収入減少の不安を抱えていることが明らかになりました。(グラフ4)

グラフ4

医師の働き方改革によって収入に「影響あり、減少する見込み」と回答した人に、その要因を聞いていますが、 最も多かったのは「実質労働時間は変わらず、サービス残業が増えることによる収入減少(58.3%)」でした。医療体制を維持しながら長時間労働の改善ができるのか、その実現性について多くの医師が不安や懸念を抱えていることがうかがえる結果です。(グラフ5)

グラフ5

勤務医の時間外労働の上限を原則年960時間に規制する「医師の働き方改革」の施行が 2024年4月に実行されます。今回の調査によると、医師の働き方改革に対し、3割以上の医師が長時間労働の改善を期待しており、最も期待されている具体的な内容は、「休日・休暇が十分に取れること」でした。また、実際の時間外労働時間と仕事への満足度の関係を確認したところ、時間外労働時間が短いほど仕事への満足度も高く、時間外労働時間が長いほど満足度も低くなる傾向が見られました。

また、不安や懸念として最も多かったのは「収入減少が見込まれること」でした。収入への影響は「影響なし、維持の見込み」と回答した人 36.7%と最多で、「影響あり、減少する見込み」が 32.2%と続きました。収入が減少すると思われる要因は「サービス残業が増えることによる収入減少(58.3%)」が最多となりました。医療機関は働き方改革のため対応を進めていますが、多くの業務に当たる医師にとって、時間外労働が減りそうと思えるような対応に至れていない職場もまだ多いことがうかがえます。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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