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エクソソーム点滴(幹細胞培養上清液)効果と安全性


再生医療、美容医療分野で今もっとも注目されているのは「エクソソーム」だろう。エクソソーム治療を扱う医療機関も増えてきているが、消費者としては提供価格においてバラつきが気になるところだ。安かろう悪かろうとまでは言わないが、その品質と安全性はどこまで担保されているのだろうか。今回、エクソソームのベースとなる幹細胞培養上清液の安全性基準の作成に取り組む前田 裕輔医師に話を伺ってきた。

グランプロクリニック銀座
前田 裕輔(まえだ ゆうすけ) 医師

日本内科学会認定医/日本抗加齢医学会専門医
一般財団法人 内面美容医学財団 学術理事

法的整備のない幹細胞培養上清液だからこそ慎重に取り扱う必要があるのです

「エクソソーム治療の品質や安全性についてお話しする前に、幹細胞培養上清液とエクソソームについて簡単に説明させていただきます。幹細胞培養上清とは再生治療に使用される幹細胞を培養する際に採取できる、培養液の上澄み液のこと。
幹細胞はあらゆる細胞の源となる細胞で、幹細胞を用いた治療では病気やケガなどで失った臓器を再生することができます。

幹細胞医療を提供するには厚労省が定める厳しい基準にパスしなければなりません。この基準はかなりハードルが高いため、おのずと提供できる機関は限られてきます。
一方、幹細胞培養上清液に関しては法的整備や公的な安全基準はありません。
ヒト幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養する過程で生じるサイトカイン、エクソソーム等を抽出した上澄み液で、言わばナマモノに近く均一化が難しい性質を持ちます。
品質、効果を均一にするためには高度な製造技術が必要ですが、上清液自体、簡単に製造できてしまうことから、この重要な部分がないがしろにされてしまっています。培養技術の差=品質差に繋がるからこそ、製品にバラツキが出てきてしまうのです。

また基本的な安全性の品質基準について言うとドナー(幹細胞提供者)の健康状態もひじょうに重要です。感染症や免疫系に異常を持っていないかとかですね。
それと培養工程ですね。保管状態が悪いと有効性は低下しますし、劣化しないためには適切に輸送されなければいけません。

施設内の細胞調整室
幹細胞はここで培養される。バイオハザード対策用キャビネット・細胞培養装置等

独自の技術で品質の高さと安全性を確保ドナーは健康な日本人さらに高濃度の成長因子を凝縮

幹細胞には病気やケガ、老化などで傷ついた部位が発信するSOSをキャッチし、血液の流れに乗ってその傷ついた部位に集まるホーミング効果と呼ばれる特徴があります。
幹細胞に関しては研究が進んでおり、糖尿病や老化に対してひじょうに優れた効果が認められています。世界的にも老化は疾病ととらえて治療をするいう動きがあります。老化が原因となるものは、糖尿病をはじめがん、認知症、免疫低下など多数ありますが、それらの根本治療となる可能性を秘めているのが幹細胞だと言えるでしょう。

しかし、先ほどお話ししたように幹細胞治療は厳しい基準が設けられ、決して気軽に受けられる治療ではありません。
そこで制約のない幹細胞培養上清液やエクソソームが注目されているのです。上清液には数百種類以上のサイトカイン(成長因子)とエクソソーム(遺伝子伝達物質)が含有されており、幹細胞と同様な治療効果があると期待されています。
治療に使われるエクソソームは上清液の含有成分の一部で、小さな小胞体でありに細胞間の情報伝達に関与することが知られています。
エクソソームは小さく、細胞外に放出された後も身体のさまざまな部位に到達しやすく、治療効果が持続する可能性があります。またエクソソームには細胞そのものが含まれていないので、体質や疾患を選ばず誰にでも使えるという最大のメリットがあるのです。

培養上清は、組織の受入から細胞培養、培養上清の品質管理に至る一連の工程において、厳格な管理のもと実施。高度な品質を担保する為に、厳しい品質管理体制を導入した運用管理体制を構築している。

だからこそ、治療として提供されるエクソソームの品質と安全性、有効性には細心の注意を払う必要があるのです。
私が務めるクリニックでもエクソソーム治療を行っています。当院で扱う製品は『ドナーが健康であること』『不純物が除去されている』『独自技術で成長因子を高濃度で凝縮』など徹底管理されたものを採用しています。」(前田医師)

世界初!独自の精製法による『浄化濃縮』を実現し、成長因子の濃度が高く、安全な浄化濃幹細胞セクレトームエキスが完成!

幹細胞治療のパイオニアのプライド妥協のない厳しい品質基準を持つグランプロクリニック銀座

さて、ここまで幹細胞治療、幹細胞培養上清液治療、エクソソーム治療の違いを解説してくれた前田医師。同医師が務めるグランプロクリニック銀座は、2018年から幹細胞治療に取り組んでいる、いわば再生医療のパイオニアだ。
厚労省の認可が必要な第二種再生医療免許を持つグランプロクリニック銀座は安全性や有用性の曖昧さが指摘されるエクソソーム治療においても、妥協のない独自の厳しい基準を設けている。

これまで上清液製造過程において、細胞がアンモニアなどの老廃物を放出することはあまり知られていなかった。
そのため流通している上清液の中には効果的な精製が行われず不純物が80%も占めていたと言う報告もある。
グランプロクリニック銀座の品質基準は、これら不純物だけでなく感染症やウィルス、DNA断片などすべて除去。ドナーとなる日本人女性の健康チェックなど徹底した管理体制で行われている。
法的に制約がないため、上清液を謳っていて成長因子やエクソソームがたとえ10%以下で流通していても違法ではないのだ。ゼロという可能性も否定できない。
消費者としては(違法ではないが、それでいいのか?)と正直、不安に思う。決して安くはない治療だからこそ、厳しい品質基準を持つクリニックを選びたい。

成長因子含有量比較

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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