予防医療テックで職域向けにオンライン診療などの健康支援プログラムを提供するリンケージ(本社東京都中央区)は、経営者と従業員のメンタルヘルスに関する認識ギャップ調査を実施し、その結果を公表しました。
調査は2020年度対比で2021年度売上が向上しており、自社(勤め先)を成長企業であると考えている会社員と経営者を対象とし、会社員161人、経営者159人から回答を得たものです。
最初の質問で、経営者は従業員に対してストレス耐性を求めているかを聞いたところ、「非常に求めている」「やや求めている」との従業員の回答47.5%に対し、経営者は64.3%と、その差のギャップが16.8ポイントと認識の差がありました。従業員が思うよりも、経営者は従業員に高いストレス耐性を期待していることが読み取れる結果となっています。(グラフ1)
次に、経営者は精神的支柱であるため、高いストレス体制も持つべきであるか?の質問では、「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した従業員71.7%に対して、経営者は87.4%の回答。経営者と従業員に15.7ポイントの認識ギャップがありました。経営者が思っているほど従業員は経営者を精神的な支柱であるとは捉えていないようです。
また経営者自身が自分に対してストレス耐性が高いと考える人は74.1%で、前述の精神的な支柱であるべきだと考える経営者が87.4%あったものの、実際には13.3ポイントのギャップがあることから、経営者が自分に過度に期待をしてしまっている様子がみられます。(グラフ2)
メンバーが落ち込んでいる時の対応としては、メンバーが落ち込んでいる時に相談して欲しいと思っている経営者が84.5%なのに対し、自分が落ち込んでいる時に上司に相談したい従業員は50.0%という結果で、経営者が従業員に相談してほしいと思っている割合と、従業員が相談したいと思う割合に34.5ポイントもの認識ギャップがありました。(グラフ3)
最後に、上司にメンタルヘルスの相談をしようと思うかを聞いたところ、「解決しそうにない」という理由が最も多く、相談に至らない傾向が強いようです。(グラフ4)
これらの結果から、経営者は企業の精神的支柱として部下にとって「頼りがいのある上司」であることが求められる一方で、周囲の期待よりも経営者自身の理想像が高いことがわかりました。
そのことで経営者が強いストレスやプレッシャーを受けた際に、「自分を過信して無理をする」「体調が悪化するまで専門家に相談しない」という問題行動が生じやすいとも読み取れそうです。
経営者のみならず会社を守るためには、メンタルヘルスや体調悪化を早期発見するストレスサーベイや専門家の介入も必要だと考えられ、さらに、昨今のテレワークの普及などにより、メンタルヘルスにおける課題を組織で可視化しておく価値もさらに高まることが予想されます。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル