エステティシャンとして独立して自分のサロンを開業する際、大きな気がかりとなることの一つが収入でしょう。
せっかく独立するからには、せめて雇われていた頃の収入は越えたいものです。
そこで今回は、エステサロンを開業した場合の収入や、収入を計算するときの注意点、サロン開業後より早く収入を安定させるための方法を解説していきます。
エステサロンの開業を目指しているけれど、収入面に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
エステサロンを開業した場合の収入は?
エステサロン開業直後の年収
エステサロン経営者の平均年収は、500万円~1,000万円と言われています。
しかし、開業したばかりの頃は、年収300万円を下回るお店も少なくありません。
多くのサロンは、開業から長い年月をかけて顧客数を増やし、リピーターを獲得することで、徐々に年収をアップさせているのです。
ちなみに、開業直後で年収300万円というのは、自宅サロンのケースです。
マンションやテナントを借りて開業するサロンでは、家賃が必要になるため開業直後の最低平均年収は、200万円程度とされています。
また、開業直後の月収としては、20万円を目標とする方が多いです。
開業から3年以上経過したサロンの年収
開業してから3年以上経過したエステサロン経営者の平均年収は、750万円程度と言われています。
ただし、これは経営方針やサロンの形態によっても大きく異なり、年収500万円程度のサロンもあれば、数千万円の収入を得ているサロンも存在します。
さらに、テレビや雑誌などのメディアに取り上げられるほど人気のサロンの経営者であれば、年商は数億円に上ることもあります。
このように経営に成功しているサロンがある一方で、開業から数年経っても目標年収を達成できずに閉店してしまうサロンも多く存在するのが実情です。
エステ開業後の収入を計算するときの注意点
エステを開業するための適切な資金計画を立てるには、以下の4点に注意が必要です。
・経費には開業資金のローン返済も含まれる
・節税対策について理解しておく
・開業直後の赤字を見越して資金計画を立てる
それぞれの注意点について、詳しく解説していきます。
収入は売上から経費を差し引いて計算する
エステサロンの経営は、売上がそのまま収入になるわけではありません。
毎月の水道光熱費や消耗品の他、営業スペースとして物件を借りる場合は、月々の家賃も発生します。
サロンの売上金額から、それらの必要経費を差し引いた金額が収入となります。
どんなに売り上げが多くても、経費を使いすぎていては収入は増えません。
適切な経費を検討するためにも、収入は「売上げー経費」で計算するということを頭に入れておきましょう。
経費には開業資金のローン返済も含まれる
エステを開業するには、まず開業資金を用意する必要があります。
内装費やエステ機器、備品、消耗品、広告費の他、賃貸マンションで経営する場合には敷金・礼金もかかります。
開業にかかる費用をトータルすると平均で、自宅サロンの場合はおよそ50~100万円、賃貸マンションの場合は家賃や賃貸条件によっても変わりますが、およそ200~500万円程度とされています。
全ての費用をあらかじめ用意しておいた場合を除けば、ほとんどは金融機関からの融資を受けることになるでしょう。
つまり、毎月の経費には開業資金の返済も含まれるということです。
節税対策について理解しておく
個人の収入から、税金や社会保険料などを除いた所得のことを「可処分所得」といいます。
エステを開業してから経営が軌道に乗るまでの期間は、この可処分所得が年収を上回ることがあります。
しかし、エステの経営に関わるお金をきちんと経費として計上し、確定申告をすることで年収の見た目は減りますが、その分支払う税金は少なくなります。
エステを開業する際は、節税に関する知識もしっかり身に付けておきましょう。
開業直後の赤字を見越して資金計画を立てる
十分な経営戦略を立てずに焦って開業してしまうと、「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。
エステ開業直後は知名度がないため、お客さんも少ない上に宣伝費も多くかかります。
少なくとも開業してから最初の3ヶ月は、赤字を覚悟しておくべきでしょう。
そのため、前もって黒字に転じるまでの期間をしのげるだけの蓄えや、いざという時に家族や周りの人からサポートを得られる基盤を用意しておくことが大切です。
エステサロン開業後の収入をより早く安定させる方法
エステサロンを開業して間もないころの収入は、予想以上に不安定です。
それにも関わらず、開業資金の返済やランニングコストなどの経費は毎月決まっています。
月々の売上げが経費を上回っていれば黒字となりますが、その月によって黒字だったり赤字だったりというような不安定な状態では、徐々に経営も立ち行かなくなっていくでしょう。
エステサロンの経営を成功させるためにも、ここではエステサロン開業後の収入をより早く安定させる方法をご紹介します。
初期費用をできるだけ抑える
エステサロンを開業するには、多額の初期費用がかかることから、開業直後はどうしても赤字になりがちです。
なるべく早く黒字化するためには、初期費用をできるだけ抑えることが大切になります。
マンションやテナントを借りてオープンすれば、目立ちやすく飛び入りのお客さんも見込めますが、敷金・礼金や家賃、内装費などによって初期費用は高くなりがちです。
自宅サロンであれば、施術用のベッド、エステ機器、消耗品、生活感を無くすための内装費は最低限必要としても、その他の家具や電化製品は自宅にあるものを利用することでコストを削減できます。
マンションやテナントで経営となると最低でも100万円以上を覚悟すべきところ、自宅サロンなら30万円ほどで開業することも可能です。
ランニングコストを節約する
初期費用と同じくらい注意すべきことが、ランニングコストです。
水道光熱費や、タオルや化粧品などの消耗品、エステ機器のメンテナンス費といった経費は、毎月必ず発生するものなので可能な限り節約する方法を探しましょう。
光熱費については複数の会社を比較することで、よりお得な料金設定の会社を選択できます。
また、定期的に見直しを行い、適切なタイミングで乗り換えを検討することも大切です。
マンションの一室やテナントでの開業を考えている場合は、家賃が経費の多くを占めるため、その分集客が見込めなければ意味がありません。
そのため、家賃と目標とする売上金額とのバランスを考慮して物件選びを行う必要があります。
マーケティングを効率的に行う
売上げから差し引かれる経費を削減して、できるだけ収入を多くするためには、マーケティングにかかる費用も無駄にはできません。
効率良く集客を行うには、ターゲットを明確にすることが重要です。
その上で、ターゲットのニーズにマッチした自店舗の強みをアピールします。
例えば、仕事で忙しい社会人をターゲットにするなら、最終受け付け時間を遅めに設定したり、1回の施術時間を短めにしたりすることで、会社帰りの方でも通いやすくなります。
ターゲットとニーズを明らかにした上で、どのようなニーズなら対応できるか探り、自店舗の強みを見つけていきましょう。
エステティシャンとして独立したからといって、すぐに高収入が得られるわけではありません。
むしろ、開業してから数ヶ月は、赤字が続くという店舗も多いです。
その状態から、いち早く黒字化して経営を安定させるためには、初期費用やランニングコストを抑え、効率の良いマーケティング活動を行うことがおすすめです。
また、エステサロンを開業する際は、先々を見据えて余裕のある資金計画を立てておくことが大切と言えます。