WHOが「老化は治すべき疾患」と宣言して以来、近代医療は大きな転換期を迎えている。今や、老化克服は世界的な流れだ。こうした流れの中、一昨年の10月南青山にオープンしたのが、再生医療と最先端技術で老化にアプローチする総合医療センター「SENSHIN CLINIC 東京未来医療センター」である。デジタルとAIを駆使した、未来医療の拠点として世界中からセレブが訪れる同クリニックの理事長 桜 宗佐 医師とリチャード・H・カジンスキー医師に老化医療への取り組みを伺ってきた。
医療法人社団宗仁会 会長
SENSHIN CLINIC 東京未来医療センター理事長
一般社団法人 国際抗老化再生医療推進機構理事
【経歴 ・資格】
東京大学医学部耳鼻咽喉科 非常勤講師
東京医科大学 AI 量子・未来医療講座特任教授
日本耳鼻咽喉科・頭頚部外科学会 専門医
日本気管食道科学会 専門医/日本抗加齢学会 評議員
SENSHIN CLINIC 総院長
【経歴 ・資格】
神戸大学医学部医学科 卒
米ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院
麻酔科・集中治療科
東京大学大学院医学系研究科法医学教室
広尾病院救命救急センター
コンゴ共和国 Senior Medical Advisor
医学博士
海外で再生医療の研究を続け、その集大成として立ち上げた
最先端と禅の世界観。総合医療センター「SENSHIN CLINIC 東京未来医療センター」に一歩足を踏み入れた瞬間、これまで持っていたクリニックの概念が覆される。
凜とした空気に包まれたその空間は、最先端のテクノロジーを用いた医療を提供する「先進」と、自身と向き合う癒しの時間を過ごして欲しいという願いを込めた「洗心」をビジョンに掲げ、SENSHINと名付けられた。
同クリニックを立ち上げたのは桜 宗佐医師。そして総院長を務めるのは世界で活躍する再生医療専門家リチャード・ヒデキ・カシンスキー医師だ。
日本における再生医療パイオニアでもある桜医師は次のように語る。「僕は長年、人類最大の健康問題は老衰と考えアンチエイジングに取り組んできました。今でこそ再生医療は先端医療として注目を浴びていますが、僕が始めた当初、日本では胡散臭いという目で見られていました。
だからという訳ではありませんが、活動の場を海外に求めアジアを中心に再生医療を研究してきました。
近年になって日本でもようやく再生医療、なかでもヒト幹細胞に対する意識が高まってきました。そこで、これまで僕が行ってきた再生医療の集大成として東京に拠点を置くことにしたのです。
その一つが総合医療センター「SENSHIN CLINIC 東京未来医センター」。続いて、現在建設中の全自動幹細胞培養ロボットセンターです。
再生医療の中心となるヒト幹細胞は際限なく増殖できる自己複製能と分化能を持った細胞であり、その想定される応用範囲はきわめて広い。
ですが、細胞の質が治療効果に大きく影響します。細胞の劣化を防ぎ、品質を担保するには、検体を即時に培養・加工できる設備が重要なのです。
そこで我々は組織採取から細胞分離、培養、移植までを安全で新鮮なものにするため世界でも初めての3D幹細胞の全自動幹細胞培養ロボットセンターを設立します。同センターの完成により、再生医療の未来は大きく変わっていくと考えています」(桜 宗佐医師)
老化治療は究極の予防医療
「桜医師が再生医療に対する高い志に感銘して、SENSHIN CLINIC 東京未来医療センターの総院長を引き受けました。
医師の経験と『経験知』は、老化治療においても重要な要素です。医師の過去の経験が未来の患者の健康に与える影響は計り知れませんが、その経験を『知』へと昇華させることが、真の治療効果を引き出す鍵となります。
老化治療においても、単に治療の回数を重ねるだけでなく、個々の症例から深く学ぶことで治療の質が向上します。このように、老化の根本原因を理解し、最新のエビデンスに基づいた治療を行うことが、老化によるさまざまな病気を予防するための最大の手段となります。(リチャード・ヒデキ・カシンスキー医師)
まだまだ課題が多いと感じる再生医療
日本の再生医療は、法的な整備不足によりさまざまな課題に直面しています。
2014年に『再生医療等安全性確保法』が施行されましたが、その適用範囲が不明瞭な点が問題です。
特に、エクソソームを利用した治療は、当時の認知度が低く、同法の対象外とされています。
その結果、治療の安全性や有効性が不確実なまま実施されるケースが増加し、患者の健康リスクが懸念される中、2023年に死亡事例が発生しました。
再生医療やエクソソーム自体が悪いわけではありませんが、このような苦い経験を繰り返さないためには、再生医療の標準化や法的ガイドラインの強化が急務です。
健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル