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医療・健康・美容分野での活用が期待されるCBD


ストレスや不安、痛みなどを緩和する栄養素としてCBDの市場は拡大傾向です。CBD(カンナビジオール)とは大麻草などに含まれる成分の一つで、2017年に世界保健機関(WHO)が効能に関するレポートを発表して以来、世界各国で研究が進みました。

日本では大麻草という法的に難しい植物由来の栄養素であることから、研究が遅れていましたが、海外での研究結果でそのパワーが明らかになるにつれ、医療、健康、美容の分野でも活用が期待される栄養素となりました。
国内においては大麻草の成熟した茎または種子から抽出・製造されている限り、CBDは全く問題なく国内流通できることから、製品化が進んできており、今後も市場活性化に一役担う存在と言えます。

不安やストレス、痛みを緩和する栄養素「CBD」


CBD(カンナビジオール)とは、大麻草などに含まれる成分のひとつで2017年、世界保健機関(WHO)が効能に関するレポートを発表しました。
以来、世界各国で研究がなされ健康意識の高い欧米のセレブたちは、今や当たり前のように摂取しています。
日本では大麻草という法的に難しい植物由来の栄養素であることから研究が遅れていました。
しかし、海外における研究データでそのパワーが明らかになるにつけ、医療、健康、美容の分野での活用が期待される栄養素となりました。

CBDは合法なのか?


大麻草由来と言うことで、麻薬ではないのか?日本では禁止されているのではないか?という疑問が持たれます。果たしてCBDは合法なのでしょうか。
厚生労働省麻薬取締部の見解は「大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品を指します。大麻草の成熟した茎や種子のみから抽出・製造されたCBD(カンナビジオール)を含有する製品については、大麻取締法上の『大麻』に該当しませんが、当該製品を輸入する前に、麻薬取締部においてその該否を確認しております」。
つまりは、大麻草の成熟した茎又は種子から抽出・製造されている限りCBDはまったく問題はありません。

すでに「てんかん」の治療薬として承認されている


CBDに期待できる効果の一つは、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質に影響を与え自律神経を整える作用があげられます。摂取することでストレスを緩和し、不安を軽減して高いリラックス効果が得られることが明らかにされていまする。

このように神経伝達物質に影響を与えることから、アメリカでは2018年「てんかん」の治療薬として販売が承認され、日本でも2019年より医療機関において治験が始まっています。

効果が認められたのは「てんかん」だけではありません。各国の臨床では不眠の緩和や皮膚の抗炎症、自己免疫疾患やアレルギー性疾患など免疫の過剰反応による症状への作用、不眠の緩和が報告されています。

WHO(世界保健機関)のCBDレポート


WHO(世界保健機関)は2017年にCBDについて以下のような報告をしています。「CBDは非常に安全で、幅広い容量で忍容性が良好である。公衆衛生上の問題も濫用の危険性もない」。
また同レポートの中で医療への応用、医療目的使用の可能性についても報告されており、その中のひとつが先述した「てんかん」です。
この他の症例に関しても、臨床データが少ないものの治療効果を有する可能性のある疾患の概要が次のように報告されています。

● 疾患 アルツハイマー病
● パーキンソン病
● 多発性硬化症
● ハンチントン病
● 低酸素虚血性脳障害
● 疼痛
● 精神障害
● 抑うつ
● がん
● 吐き気(悪心)
● 炎症性疾患
● 関節リウマチ
● 感染症
● 炎症性疾患
● 炎症性腸疾患とクローン病
● 心血管疾患
● 糖尿病合併症
引用元 ※カンナビジオール(CBD) 事前審査報告書・世界保健機関(WHO) 薬物依存に関する専門委員会(ECDD) 第39回会議ジュネーブ 2017年11月6日〜10日より

アンチエイジングや更年期のゆらぎにも期待

植物から抽出されたCBDが、なぜこれほどの効能をもたらすのでしょうか。実はヒトの体内にも大麻と同じように、カンナビノイドが存在しているのです。
カンナビノイドが全身の受容体と結合し、細胞同士のコミュニケーション活動を支えることで、食欲や感情、運動機能、ホルモン、記憶などの人間が備えたさまざまな機能をコントロールしています。

コントロールするメカニズムをエンド・カンナビノイド・システム(ECS)といい、CBDを外から補給することでこのシステムが強化されるのです。
例えばストレスやホルモンバランスの崩れが原因で自律神経が乱れると、内蔵機能が低下する、ウツや不眠症といった症状を引き起こす。更年期によるゆらぎなどが、そのいい例でしょう。

自律神経が乱れにCBDを補うと、体内のエンドカンナビノイドとの相互作用により、交感神経と副交感神経のバランスが整えられ自律神経の乱れも治まってくると言われています。
また、CBDは抗酸化作用や抗炎症作用があることから、肌トラブルの改善も期待できます。例えば、抗酸化作用はシミやシワ、たるみを防止するため美肌の維持に。
特にCBDの抗酸化作用は、ビタミンCよりも高いという報告もあり美白にも期待が持てます。
このように様々な可能性を秘めたCBD。CBD製品がブームの欧米では、マッサージにCBDオイルを積極的に取り入れる治療院やサロンが増えています。
またマッサージオイルだけでなく、化粧品や経口摂取できるサプリメントなどの製品も出始めています。毎日を健やかに過ごすために、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

CBD(カンナビジオール)の今後の動向


CBD(カンナビジオール)は、ストレスの軽減、眠りを良くする、痛みを緩和するなどの効果があるとして、欧米ではドラッグストアやスーパーなどでCBDを配合したグミやチョコレート、経口オイル、クリームなどの製品が販売され、数年前から国内にも輸入製品が出回り始めています。

CBDに関する研究は2000年以降から盛んになり、現在、世界では300件以上の臨床研究が進行中。米国の研究では、不安や睡眠障害のある72人の成人患者の補助的な治療としてCBDを1日25mg~175mg投与したところ、不安や睡眠の改善効果が得られたという結果も報告されています。

欧米を中心に、CBD製品の販売が広がっている背景には、CBDは依存や乱用の可能性がないことが分かってきたことがあるようです。基礎研究では、CBDは血圧、免疫、情緒面などの体の恒常性を保つ穏やかな作用があるのではと考えられています。

CBDは医薬品としても注目されています。英国のバイオ医薬品企業、GWファーマシューティカルズは、CBD製剤「エピディオレックス」を難治性てんかん治療薬として、米国ほかG7諸国で承認を受けています。我が国でも2023年より、「エピディオレックス」の臨床試験がスタートします。

日本の法制度も変わろうとしています。厚生科学審議会では「大麻規制検討小委員会」を設置。麻薬としての大麻、THCの成分規制などはより厳罰化する一方で、医療のニーズに対しては規制の緩和に向けて今後、法改正を進めていく動きが出てきています。

ただし、既に販売されている輸入製品から微量のTHCが検出されて回収される事例があるなど、CBD製品を巡っては課題もあります。販売側は、今後整備される予定の製品の認証制度などをクリアした適正な製品を販売することが重要になると言えるでしょう。

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子


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