どうやら、あの「シャキッ!」は気のせいではなかった
仕事でパソコンに向かっていると、ある瞬間から急に頭が働かなくなる。文章を読んでも入ってこない。さっき考えていたことを忘れる。「もう今日はダメかも」と思いながら、ソーダストリームで炭酸水をつくる!

出来たての強炭酸を一気に喉に流し込む。
「くぅ~、生き返る!」
私は長年、この瞬間が大好きだった。でも、これは単に私が「炭酸好き」だからだと思っていた。
ところが最近、とても興味深い論文を見つけた。
なんと、強炭酸水が“脳の疲れ”を軽減する可能性が研究で示されたというのである。これは炭酸好きとしては見逃せない!
筑波大学が「強炭酸×脳疲労」を研究
研究を行ったのは、筑波大学体育系の松井崇准教授、髙橋史穏氏らの研究チーム。
2026年、学術誌『Computers in Human Behavior Reports』に、「Sparkling water consumption mitigates cognitive fatigue during prolonged esports play」「炭酸水の摂取は長時間のeスポーツ中の認知疲労を軽減する」という、炭酸好きには何とも心躍るタイトルの論文を発表した。
研究では若いゲームプレーヤー15人を集め、データ不備の1人を除く14人を最終解析した。
参加者には別々の日に、強炭酸水を飲む条件と普通の水を飲む条件の両方で、バーチャルサッカーを3時間プレーしてもらった。
しかも使われた強炭酸水は4℃に冷やしたもの。これだけでも私には非常に親近感が湧く。そして研究チームは、「なんとなく疲れた」という感想だけを聞いたわけではない。
主観的な疲労感に加えて、判断や抑制に関わる実行機能、瞳孔径、心拍数、血糖値、唾液中のコルチゾールなどまで測定した。
水では疲れた。でも強炭酸では
結果がおもしろい。普通の水を飲んでいた時には、ゲーム開始から2時間を超えると主観的な疲労感が有意に増えていった。
ところが、強炭酸水を飲んでいた時には、その疲労感の増加がみられなかった。
さらに普通の水では、長時間のゲームによって実行機能の低下がみられたのに対し、強炭酸水ではその低下が抑えられた。
認知疲労に伴って起こる瞳孔の収縮も、強炭酸水では抑えられていた。
そして、もう一つ面白い。強炭酸水を飲んだ方がゲームを「楽しい」と感じる度合いも高かったという。さらにはゲーム中の反則まで少なくなった。
攻撃や守備の成績が落ちたわけではないので、研究チームは、炭酸水が長時間のプレー中の判断や抑制機能を維持する可能性を指摘している。
シュワシュワが「脳」を刺激する?
では、なぜ炭酸なのか。研究チームが注目しているのが、炭酸を飲んだ時に喉や口の中で感じる、あの独特の刺激だ。
論文では、炭酸による口腔・咽頭への刺激がTRPチャネルなどの感覚経路を介して脳幹に伝わり、さらに判断や集中などに関わる前頭前野の活動に影響している可能性が考察されている。
つまり私が原稿に行き詰まった時、「強炭酸を飲むと頭がシャキッとする!」と感じていたのは、単なる思い込みではなかったのかもしれない。
しかも今回の研究では、強炭酸と普通の水との間で、心拍数、血糖値、ストレス指標となるコルチゾールに差はみられなかった。
ここが私はとても気に入った。砂糖もいらない。カフェインもいらない。ただの水と炭酸ガスである。
美容にも「脳を疲れさせない」という発想を

美容というと、肌や髪、体形ばかりを考えがちだ。でも、疲れ切った顔で「キレイ」をつくるのは難しい。
パソコンやスマートフォンを何時間も見続け、午後になると集中力が切れる。そこで甘いものを食べ、さらにコーヒーを飲んで頑張る。そんな人は多いのではないだろうか。
だったら、その一杯を無糖の強炭酸水に替えてみる。これは意外に現代人向きの美容習慣かもしれない。
ただし今回の研究は、平均22・9歳の若年成人14人を解析した小規模な実験で、しかも3時間のeスポーツという限定された条件で行われたものだ。
「強炭酸を飲めば、どんな脳疲労も治る」とまで言える研究ではない。睡眠不足なら、必要なのは睡眠である。本当に疲れているなら休むべきだ。
それでも、
「もう少し集中したい」
「仕事の途中で頭を切り替えたい」
「甘い飲料やカフェインに頼りたくない」
そんな時の一杯として、強炭酸はなかなか面白い存在ではないだろうか。
炭酸好きの私は、この論文を読んでちょっとうれしくなった。長年感じていた、「強炭酸を飲むと、頭までシュワッとする」という感覚。
どうやら科学が、少しずつその理由を解き明かし始めているらしい。今日も原稿に煮詰まったら、私は迷わずプシュッっと炭酸水をつくる!この音から、私の「脳疲労リセット」は始まるのである。

健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル
