エステ開業

エステサロン開業時に必要な手続きや許可はどんなもの?


エステサロンを開業する際、どういった手続きが必要で、どのような許可が必要になるのか不安な方は多いのではないでしょうか。
個人で働き始める場合には、開業届けの提出が必要なのか悩む方もいるでしょう。
一般的に、エステ開業は「開業届」の提出が必要で、その他特別な資格や免許は必要としていません。
しかし、サービス内容によっては、保健所への届出と検査が必要になるケースがあります。
必要な手続きをしていなかった場合、大きなトラブルや廃業につながる可能性もあるので注意しなければなりません。
今回は、エステ開業時の届出やメリット、注意点などを詳しく紹介します。
エステ開業に必要な許可や手続きについて知りたい方はぜひ参考にしてください。

エステ開業に必要な許可や手続きとは?


エステサロンの開業には、税務署へ「開業届」の提出が必要になります。
それは、自宅サロンや規模の小さいエステサロンであっても同様です。
開業というとハードルが高く感じるかもしれませんが、開業までにそこまで煩雑な手続きや届け出は必要ありません。
開業届を行うだけで開業手続きは完了し、基本的にはその他に特別な資格や届け出は必要ないからです。
しかし、提供する施術によって保健所に開設届の提出が必要になるので注意しましょう。
開業届の提出期限は、開業してから1ヵ月以内です。
開業までの期間は準備に慌ただしく、後回しにしてしまう恐れがあるので早めに開業手続きを行っておきましょう。

開業届を出さないとどうなる?


個人でエステ開業をする方の中には、開業届を出さずに事業を始める方もいるかもしれません。
なぜなら、開業届の提出は所得税法上定められていますが、罰則規定が存在しないからです。
つまり、開業届を提出しないからといって法的に罰せられることはないのです。
そのため、開業届を出さないまま運営をしているケースもありますが、税制上損をする可能性が高いのでおすすめしません。
また、開業届は税制面だけでなく、サロンを経営するにあたって必要になるケースも出てきます。
不安なく、経営に集中するためにも開業届の提出はしておくに越したことはないでしょう。
例え問題なくサロン運営が順調であっても、売上額によっては、脱税とみなされて罰則を受ける可能性もあります。

【開業届】手続きの方法と提出するメリットについて


開業届は、管轄する税務署への提出が必要です。
その際、税務署への提出用と控え用の2枚が必要になるので準備しましょう。
開業届の手続き方法は以下のとおりです。

【開業届に用意するもの】
・開業届
・マイナンバーカード
・届出をする方の本人確認書類の提示又は写しの添付

開業届は、最寄りの管轄税務署、または国税局のHPからダウンロードすることができます。

参照:国税庁[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.html

開業届の手続き方法


①開業届の用紙を準備する
②提出用と控え用に2枚作成
③項目ごとに必要事項意を記載する
・税務署名(国税庁HPから検索可能)
・納税地(自宅の場合は自宅住所)
・氏名
・生年月日
・マイナンバー(個人番号12桁、通知カードにも記載あり)
・事業名(セラピスト、リラクゼーション事業など)
・屋号
・開業日
・具体的な事業内容
④税務署へ提出する
直接所管の税務署へ提出または郵送も可能
※郵送で送る場合、切手を貼った返信用封筒を同封する
⑤税務署で確認印が押された控え用書類は、手元に保管しておく

開業届の控えは必ず受け取り、保管しておきましょう。
屋号の銀行口座の作成や融資の際に控えが必要な場合もあるからです。
もし、控えを紛失した場合は、保有個人情報開示請求書を税務署に申請し、1件300円で写しがもらえます。

開業届の提出でできること

開業届を提出すると、以下のようなメリットがあります。

・確定申告の際に、青色申告が可能
白色申告と比べ、青色申告は特典やメリットが多い申告方法です。
複式簿記による記帳が必要ですが、「青色申告特別控除」が適用されれば所得金額から最大65万円の控除を受けることが可能です。
また、赤字経営の場合、赤字を3年まで繰り越し納税額を安く済ませることができます。

・屋号を使って銀行口座、法人用のクレジットーカードの作成が可能
開業届を提出していない場合は、屋号で銀行口座を開設できません。
個人とは別に事業用の口座を持つことで、家計と事業用の収支を分けて管理することができます。

・オフィスの契約や融資の際、審査に利用できる
サロンの業種や規模によっては、事務所の契約や店舗を構える必要があり、融資の申し込みをするケースもあるでしょう。
申し込みや審査に、事業の証明として開業届の控えを求められるケースがあります。

・個人事業主向けの共済などに加入できる
一定の条件を満たしていれば、小規模企業共済に加入することができます。
小規模企業共済とは、個人事業主やフリーランス、中小企業の経営者などの積立による退職金制度で、掛金に応じて給付を受け取れる制度です。
節税対策にもなり、制度内に貸付制度があるなど、経営者にとって優遇効果の高い制度になっています。

保健所への申請は必要?!

エステサロンの開業は基本的には「開業届」の手続きで完了します。
しかし、サロンで取り扱うメニューによっては、保健所への申請が必要で、営業許可を受けなければなりません。
以下のケースに該当する場合、保健所への申請が必要です。

・国家資格を必要とする施術を行う場合
・首から上の施術を行う場合、刃物を扱う施術

申請が必要なケースと不要なケースについてそれぞれ確認していきましょう。

営業許可が必要なケース


国家資格が必要なサービスは保健所から営業許可を受けなければなりません。
「まつ毛エクステ・まつエク」「まゆ毛カット」などの施術には、「美容師免許」(国家資格)が必要です。
また、エステ開業時には「美容所登録」も必要になります。
美容所登録を行うには、出店するエリアの管轄の保健所から構造設備や衛生管理などの基準を満たしているか検査を受けなければなりません。
開業日の1~2週間前には提出しておくと良いでしょう。
審査通過後に「美容所確認書」が発行されます。
美容所登録をせず、法令違反にあたった場合には30万円の罰金や閉鎖命令が下されるケースもあるので注意しましょう。
その他国家資格を要するサービスと必要な届出は下記のとおりです。

・マッサージ指圧:あん摩マッサージ指圧師免許/施設所開設届
・はり、きゅう:鍼灸師免許/施設所開設届

営業許可が不要なケース

国家資格を必要としないサービスは、保健所への申請義務はありません。
以下のようなエステメニューは、営業許可が不要なサービスになります。

・マッサージ関連:アロママッサージ、リンパマッサージ、リフレクソロジーなど
・トリートメント関連:ネイルケア、ネイル、フェイシャルケア、アーユルヴェーダ、タラソテラピーなど
・スピリチュアル関連:カラーセラピー、クリスタルヒーリング、フィトセラピーなど

エステメニューの多くは、特別な資格は必要ありませんが、他のサロンと差別化を計るために、民間のスクールなどで資格取得を目指しても良いでしょう。

エステ開業に必要な資格や知識とは?


先述したとおり、エステ開業にあたって特別な資格は必要ありません。
ある程度の技術があれば、誰でもエステサロンを開業し、エステティシャンとして働けるでしょう。
そのため、サロンによって技術やサービスの違いが大きく出る業界だとも言えます。
エステ技術の高さは、目に見えるものではないので、お客様に伝わりにくいです。
その点、資格を保有していれば、専門的な知識に長け、高度なスキルがあると証明しやすくなるメリットがあります。
資格を取得することでお客様から信頼されやすくなるのです。
お店のブランディングやエステティシャンとして自身の価値を高めたいのであれば、積極的に資格にチャレンジすることをおすすめします。
また、エステ開業を成功させ、安定した収益を出すためには、経営者としての知識が必要になってくるでしょう。
経営能力に長けたスタッフがいれば安心ですが、多くの場合自分がメインでお店の運営をしていかなければなりません。
本業はエステなので、経営や税金についての専門的な知識を得る必要はないかもしれません。
しかし、基本的なお金の流れや確定申告など税金の基本的な知識は安定した経営を続けていくためには必要なので経営に必要な情報は進んで蓄えていきましょう。

今回は、エステ開業に必要な許可や手続き法などについてご紹介しました。
エステサロンを開業するためには、税務署へ開業届を提出しなければなりません。
開業にあたって特別な資格は必要ありませんが、サービス内容によっては保健所へ開設届を出し、営業許可を受ける必要があるので注意しましょう。
ご自身のエステサロンを開業するにあたり、どのような提出書類が必要になるのかこの記事を参考にし、安心して開業準備をしていきましょう。


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