秋田大学大学院医学系研究科の野村恭子教授らの研究グループが、働く女性の更年期障害の受療率や併存症、医薬品の処方状況を、全国の診療報酬請求データから分析しました。分析データでは更年期障害の受療率が2016年~2022年にかけて約1.4倍に増加したことが記されました。また、診断を受けた女性の約6割には睡眠障害などの併存疾患があり、約4人に3人が医薬品の処方を受けていたこともわかりました。この研究成果は、2026年6月、国際学術誌「Maturitas」に掲載されました。
更年期にはさまざまな心身の不調が現れますが、症状があっても医療機関への受診や相談につながるとは限りません。働く女性がどの程度受診し、どのような併存症や処方の実態があるのか、全国規模のデータに基づく把握が求められていました。そこで同研究グループは、全国健康保険協会(協会けんぽ)の診療報酬請求データを用いて、2016~2022年度における45~57歳の被保険者女性、約583万人を対象に分析。更年期障害の受療率を年ごとに調べるとともに、診断を受けた女性にどのような併存症があり、どのような医薬品が処方されているかを調査しました。

更年期障害の受療率は増加傾向
分析の結果、更年期障害の受療率は、10万人を1年間観察した場合に換算すると、2016年の約6800人から2022年には約9500人へと増加しています。年齢別では、45〜49歳よりも50〜57歳の女性で受療率が高く、また、更年期障害の診断を受けた女性の約58%には、少なくとも1つの併存症がありました。併存症で最も多かったのは睡眠障害(約26%)で、次いで高血圧(約21%)、頭痛(約18%)でした。
医薬品の処方状況では、診断を受けた女性の約75%が少なくとも1種類の医薬品を処方されていました。薬剤では漢方薬が最も多く、診断を受けた女性の約40%に処方されています。次いで、ホルモン補充療法(HRT)に関連する医薬品が多く、約30%に処方されていました。
研究グループは、診療報酬請求データから推定された更年期障害の受療率が、一般的に報告されている有病率よりも低いことから、更年期症状があっても医療機関を受診せず、適切な治療を受けられていない女性が多く存在する可能性を指摘。また、本研究では症状の重症度を考慮できていないほか、対象者も限られることから、今後はさまざまな背景を持つ女性を対象に、さらなる検証が必要としています。

健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル
