雨の日が続くと、買い物も散歩もつい後回しになる。仕事は室内、移動は車。気付けば一日中、ほとんど外に出ていない。そんな暮らしで気に留めたい栄養素が、ビタミンDだ。とはいえ、雨が数日続いたからといって、誰もがすぐに不足するわけではない。食事や普段の屋外活動を含めて考えることが大切だろう。
食べるだけでなく、皮膚でも作られる
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨の健康を支える栄養素。食品から摂取するほか、皮膚に紫外線の一種であるUVBが当たることでも作られる。
長雨で屋外に出る機会が減り、食事からの摂取も少ない状態が続けば、不足のリスクが気になる。
だが、作られる量は季節や地域、時間帯、年齢などによって変わるため、「毎日何分、日に当たれば十分」と一律には言えない。窓ガラス越しの日光では、ビタミンDの合成は期待できない点も覚えておきたい。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人男女のビタミンDの目安量は1日9・0マイクログラム。
これは習慣的な摂取量の目安であり、一食ごとに厳密に計算するための数字ではない。日照も考慮して摂取を考えることが求められている。
対策の中心は、毎日の食卓に
まず取り組みたいのは、ビタミンDを含む食品を食卓に戻すことだ。鮭やいわし、さばなどの魚は、取り入れやすい供給源になる。卵黄やきのこ類にも含まれるが、含有量には違いがあるため、少量添えれば十分とは限らない。魚を中心に、いくつかの食品を組み合わせて考えたい。
忙しい日は、焼き魚を一から用意しなくてもよい。魚の缶詰を使った汁物、鮭ときのこの蒸し料理、卵を添えた朝食など、手間を増やしすぎない工夫が続けやすい。
サロンで食生活について話すときも、「何が足りないか」を指摘するより、「最近、魚を食べる機会はありますか」と尋ねてみる。お客様の生活に合う一品を一緒に考えるほうが、行動につながりやすいだろう。
日焼けを勧める必要はない
ビタミンDのために、紫外線対策をやめたり、長時間の日光浴をしたりする必要はない。紫外線による皮膚への負担にも目を向け、外出時の対策は続けたい。
晴れ間に買い物や散歩へ出るなど、無理のない屋外活動を暮らしに取り入れつつ、食事からの摂取を意識する。「美白のためには外に出ない」「不足を防ぐには日焼けをする」という極端な選択を避けることが大切だ。
サプリメントは、量と重複を確認
食事だけでは補いにくい場合、サプリメントも選択肢になる。ただし、ビタミンDは多く取るほどよい栄養素ではない。
成人の耐容上限量は1日100マイクログラムだが、これは目標量ではない。過剰摂取を続けると、高カルシウム血症や腎障害などを起こすおそれがある。
複数のサプリメントを使う場合は、ビタミンDが重複していないか確認し、持病や服薬がある方は医師・薬剤師に相談したい。
また、疲れや気分の落ち込みだけでビタミンD不足を判断することはできない。「飲めばうつを防げる」といった説明も適切ではなく、臨床試験では予防・治療効果が確立していない。
長雨の時期は、お客様だけでなく、室内で働くサロンスタッフ自身の食事や外出習慣を見直す機会にもなる。紫外線対策を続けながら、食卓には魚を、暮らしには無理のない外出を。続けられる工夫から始めたい。

健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル