エステ開業

エステサロンの開業に伴うリスクと、その対策方法


エステサロンは国家資格や経験がなくても開業資金や仕事内容の知識があれば比較的簡単に開業できます。
そのため、様々な規模のエステサロンが毎年開業し、競合店が多い業界となっています。
現実として、エステサロンは開業しやすい反面、廃業しやすいです。
開業後、失敗しないためには、リスクを把握したしっかりとした戦略が必要になります。
今回、エステサロン開業におけるリスクとその対策方法について紹介します。
リスクを事前に知った上で、失敗を未然に防げるように対策していきましょう。

エステサロン開業で考えられるリスクとは?


まだエステサロンを開業していない場合、どのようなリスクがあるのか不安な方も多いでしょう。
ここでは、エステサロンを開業した際のリスクについて紹介します。
現時点での自分の状況とリスクを照らし合わすことにより、課題が見え、対策しやすくなります。
1つ1つ確認していきましょう。

初期費用が思っていた以上にかかる


必要経費がどれくらいになるのか把握せずに準備を進めるのは危険です。
想像以上に金額が膨れ上がってしまうリスクがあるからです。
サロンの規模や場所、導入する機械によっても初期費用は変わりますが、どれくらいの費用がかかるのか把握しておくことが重要でしょう。
そのためには、漠然と資金を用意するのではなく、必要なものをリスト化して凡その金額を把握する必要があります。
また、準備していく過程で必要になる物もでてくるので、ある程度余裕資産を確保しておくと安心でしょう。
一般的な初期費用として、下記のイニシャルコスト(開業に必要な費用)が挙げられます。

・敷金礼金(個人サロンではなく、マンションやテナントを利用する場合)
・内装費用
・家具、家電(洗濯機、掃除機、冷蔵庫、音響機器、ソファー、棚など)
・通信機器(電話、パソコン、タブレット、Wi-Fiなど)
・美容機器類、エステマシーン
・消耗品、施術用化粧品類(マスク、タオル、コットン、スポンジ、ガーゼ、オイル、クリームなど)
・お客様用の備品、化粧品
・その他備品(スリッパ、ハンガー、マットなど)
・広告、宣伝費用

開業にあたって、すべてのものを新しく用意する必要はありません。
コスト削減のために、お客様の目に触れないようなものであれば、掃除機や音響機器など既に使っているものを流用しても良いでしょう。

毎月の固定費がかかる


初期費用同様、毎月かかる固定費(ランニングコスト)もきちんと把握していなければ開業後のリスクになります。
開業間もない時期は、安定した収益が見込めないので、想像以上に固定費がかかれば、赤字経営につながります。
どのくらいの期間で収益がランニングコストをカバーできるようになるか、初期費用の回収をどれくらいの期間で考えているかなど、目標値を決め、収支計画を立ててみましょう。
ランニングコストとして必要なものは以下のとおりです。

・エステに必要な消耗品(マスクやガーゼなど)
・光熱費(電気、ガス、水道代)
・広告宣伝費(チラシやネット広告費など)
・その他雑費(文房具代、コピー用紙、POP作成代など)

その他、場所を借りて開業している場合やサロンの規模が多い場合、上記に慈姑手以下のランニングコストがかかります。

・家賃
・駐車場代
・人件費
・リース用品代
・クリーニング費用

集客に苦戦する


新しくサロンを始めた場合、認知度が低く、新規顧客の獲得は難しいです。
固定客がついていない状況で、新規でお客様が集まらなかった場合、サロンの経営に影響が出てくるでしょう。
開業後行き当たりばったりではなく、ある程度目標人数を設定しておくことが重要です。
そして目標値にあわせたプロモーション活動を行い、宣伝や広告にどれくらい費用をかけて行うか決めておくと良いでしょう。
SNSをうまく利用し、コストを抑えた宣伝も効果が期待できます。

リピーターにつながらない

新規でお客様が来店してもリピーターが増えないというリスクがあります。
お客様が再来店しなければ、顧客数が減ってしまい、経営は難しくなるでしょう。
エステサロンは固定客によって成立するといっても過言ではありません。
固定客がつけば、先の見通しも立てやすく、毎月安定した収益が見込めるからです。
サロンのコンセプトが弱いと集客したいターゲットを絞り込めず、失敗する可能性が高いです。
他店との差別化を図るためにも、どんなサロンにしたいのか、どのような人に何を提供するのかなどサロンコンセプトを明確にしましょう。
また、エステティシャン自身のスキルや接客力も重要になってきます。

美容機器の選択ミス


美容機器には、数多くの種類があり、中には数百万を超えるようなエステマシーンも存在します。
自分の経営するサロンとは合わない機器を購入してしまうと、経営に大きなダメージを与えるリスクがあるでしょう。
導入後に失敗したと感じて他の機器を導入したくても、高価なものなので、買い替えも難しいです。
美容業界は流行に左右されやすい一面があります。
どのような施術を提供したいのか、流行を押さえつつ、サロンに合った商品を選ぶ必要があるでしょう。

サロンの場所がわかりにくい・通いにくい


エステサロンの場所は売り上げにも大きく影響する部分です。
隠れ家的サロンを考えていても、わかりにくく、行きにくい場所であれば、お客様から選択されにくくなります。
自宅サロンの場合も同様で、場所を非公開にしていれば、集客にはつながりません。
お客様にとって、初めて行くサロンの場所が不明確なのは、不安要素になるからです。
詳細までは記載しなくても、大体のエリアがわかる範囲で明記し、「詳細はお問い合わせください」など案内を工夫しましょう。
また、駅から遠い場所なども通いにくさからリピーターにつながりにくいです。
ターゲットを絞り、どのエリアに出店するのか検討しましょう。

このように、エステサロン開業の際には、上記のようなリスクが存在します。
リスクを下げるためには、なるべく具体的な目標数値を決め、それに対応した準備が必要になってくるでしょう。

エステサロン開業で失敗しない対策

先述したとおり、エステサロンの開業を成功させるには、事前準備が必要不可欠です。
どのように売り上げを立てていくのかは、サロンのコンセプトや収支計画などポイントを押さえる必要があるでしょう。
ここでは、失敗しないための対策について紹介します。
開業にあたって注意したいポイントは以下の6つです。

①サロンのコンセプトを明確にする


エステサロン開業でもっとも重要なのがコンセプトです。
コンセプトが曖昧なまま開業準備をしてしまうとサロンの方向性が定まっていないため、無駄な経費や労力につながる恐れがあります。
まず、ターゲットを定め、具体的に顧客層を絞っていきましょう。
年代だけでなく、生活水準、収入、独身または主婦層など細かく設定します。
ターゲットが絞れたら、その顧客が望むサービスや施術、価格設定、営業時間、内装など考えていきましょう。
コンセプトが明確なほど、サロンの方向性が定まり、他店との差別化も図れるでしょう。
失敗しないエステサロンはコンセプトを明確にしています。

②なるべく具体的な数値を用いて事業計画書を作成する

コンセプトが明確になれば、開業に必要な準備に目安がつき、必要な資金も見えてきます。
事業計画書は、資金調達する際に必要となるものです。
説得力のある事業計画書は、資金調達だけでなく、開業後の経営にも役立ちます。
記載事項として、事業概要(経営者の経歴や経営理念)、事業内容(コンセプトや仕入計画)、売上などの数値計画、実行計画などがあり、第三者が見ても理解できるように、具体的な数値を用いて作成しましょう。

③無理のない資金調達


エステサロン開業には、規模にもよりますが多額の資金が必要です。
必要資金が自己資金を超える場合には、融資を活用も検討しましょう。
融資は銀行だけでなく、低金利の公的融資や、自治体の制度融資や助成金、補助金などもあります。
それぞれ利用可能な条件が設定されているので、負担が少ない方法で有効活用しましょう。

④物件選び

コンセプト、ターゲットに合った物件選びをしていきます。
場所や物件の規模によって経費は大きく異なります。
いくら立地条件や物件が良くても、予算に合わない物件を選んでしまっては開業後のリスクにつながってしまうでしょう。
自宅サロンは別ですが、マンションやテナントを利用する場合には敷金礼金の他にも毎月の家賃が発生します。
毎月どれくらい支出できるのかを考えて物件選びをしましょう。
また、契約後に後悔しないためにも、出店するエリアでの顧客ニーズを把握しておくことも重要です。

⑤必要な設備・商材の導入する


開業後の廃業リスクを抑えるために、始めから高価格帯のエステ機器を揃えるのは避けましょう。
経営が安定してきてからメニューを増やし、必要なマシーンを購入することもできます。
エステで必要になる設備は価格帯に開きがあります。
予算に合わせて必要な設備を揃えていくと良いでしょう。
必要かどうか迷う場合にはリースを利用する選択もあります。

⑥効果的な広告・集客を考える

エステサロンの出店地域やターゲットによって集客方法も変わってきます。
やみくもに広告を出しても必ず集客につながるとは限りません。
費用対効果を考えた広告、集客を考えていきましょう。
まず、サロンを知ってもらうためにはオープン前から戦略的に広告宣伝をしていきます。
オープンする日が決まったら、1ヶ月前を目安に広告を出し、予約受付を設定しておくと良いでしょう。
集客方法として、チラシやポスティング以外にも、ホームページ、InstagramなどのSNS、ポータルサイトへの掲載があります。

今回、エステサロンにおけるリスクとその対策方法について紹介しました。
エステサロンは開業までがゴールではありません。
廃業を避けるためには、念密な準備や計画が必要になります。
お店のオープン前は、やることが多く時間の確保が難しいかもしれません。
しかし、コンセプトや事業計画が曖昧な場合、開店後スムーズな経営は難しくなるでしょう。
時間はかかりますが、失敗を未然に防ぐためにはリスクを把握し、できる対策はしておくことが成功への近道です。
この記事を参考に、時間に余裕をもって開店までの準備を進めていきましょう。


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