アンチエイジングを訴求した食品は以前から存在するが、栄養補助や機能補助により不調の予防やQOL向上の効果を感じさせるものであった。しかし、バイオロジーの進展により、老化は自然現象であり避けられないという認識から、治療や予防ができる病であるとの認識へ変化しつつある。食品領域では、2020年代以降、体内のシステムや構造へのアプローチ、細胞の根本的なプログラムへの働きかけに着目したセノリティクス(老化細胞除去)関連商品や、オートファジー(細胞リサイクル機能)関連商品が登場した。
こう言った背景がある中、富士経済がバイオロジーの進展で細胞レベルからの健康提案が可能となり、健康寿命延伸への一助として拡大が期待される抗老化バイオロジカル訴求食品市場の調査結果を公表した。
2026年時点で対象商品はまだ少なく、サプリメントが多くを占める。エイジングケア素材として近年知名度が高まったNMNを主成分とするサプリメントを筆頭に、新規成分も増加している。2025年は老化細胞除去の働きがあるキンミズヒキ由来アグリモールを関与成分としたサプリメント「ウェルエイジ プレミアム」(ファンケル)が、2026年は細胞レベルから健康に着目した「ニュートリライト セルアクト」(日本アムウェイ)が発売され話題を集めた。また2026年に老化細胞への働きかけが、機能性表示食品のヘルスクレームとして初めて受理され、6月時点で商品は未発売であるが今後の動向が注目される。
政府も健康寿命の延伸を社会課題と捉える中で、成分・素材を含めて抗老化メカニズムに着目した研究や商品開発が進んでおり、今後市場は本格的に成長し、2030年は500億円以上になると予測される。これまではイメージや効果感に頼る需要開拓が中心であったが、今後は、ミトコンドリア活性やオートファジー、セノリティクスといった、細胞レベルでの抗老化メカニズムに基づいた商品開発により、新たな市場創出が進むと予想される。
なお、現状は各種法規制により最終商品において抗老化を直接的に訴求することはできない。市場の活性化に向け、法に則った形で消費者に誤解を与えずに本質的な価値を伝えていくことも求められる。


健康ジャーナルライター
ホリスティック・ ジャーナル