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夏こそ温泉! 炭酸泉が叶える、不感の湯。

温泉 炭酸泉

連日の猛暑に、温泉から足が遠のいてはいないだろうか。「熱い湯に短時間」が日本の温泉の常識とされてきたが、実は夏にこそ向く入浴法がある。それが、体温に近い「ぬる湯」でじっくりと過ごす湯治だ。汗をかく季節だからこそ、体に負担をかけずに芯から整える入浴法が見直されている。

不感温度の湯は自律神経を整える

人間の皮膚が温度差をほとんど感じない湯温は、一般に36〜38℃前後とされ「不感温度」と呼ばれる。この温度帯の湯は、心拍数や血圧を急激に変動させることがなく、自律神経のうち副交感神経を優位に保ったまま入浴できるのが特徴だ。
熱い湯のように「のぼせて早々に出る」ことがないため、20分、30分と長く浸かり続けられる。じわじわと体の芯まで温まり、汗ばむ季節でも湯あたりしにくい。短時間で交感神経を刺激し体力を消耗させる熱い湯とは、体への作用がそもそも異なるのである。
長湯ができるということは、それだけ温浴効果をじっくりと体に行き渡らせられるということでもある。湯冷めもしにくく、暑さで乱れがちな自律神経のリズムを、夜にかけてゆるやかに整えてくれる点も大きなメリットだ。

炭酸泉との相乗効果も見逃せない!

ぬる湯に炭酸ガスが豊富に溶け込んでいると、効果はさらに高まる。炭酸ガスは皮膚から吸収されると毛細血管を拡張させ、血流を促進する性質を持つ。実際の湯温よりも2〜3℃温かく感じやすいという特性もあり、ぬるめの湯でも体の芯からしっかりと温まり、湯上がり後も温かさが持続する。
血流が良くなることで、筋肉などの組織への酸素供給量が増加し、疲労回復や老廃物の排出、肌のターンオーバーの促進にも良い影響が期待できるという。
古くは「心臓の湯」とも呼ばれ、循環器系への作用が経験的に知られてきた泉質でもある。「ぬる湯×炭酸泉」は、夏の湯治における理想的な組み合わせと言えるだろう。

トップレベルの高濃度炭酸泉、岐阜・泉岳舘

泉岳舘

そうした炭酸泉の中でも、ひときわ際立つ存在が岐阜県・小坂温泉郷にある一軒宿「泉岳舘」だ。御嶽山の西麓、地中深くで炭酸ガスと交わった水が高温になることなく低温のまま地表に湧き出す、全国的にも希少な冷泉である。
専門家による測定では、源泉から1500〜2000ppmという炭酸ガス濃度が確認された。
これは「トップレベルの炭酸泉」として広く知られる大分・長湯温泉(平均遊離炭酸濃度777ppm)を上回る数値で、九州で炭酸泉を研究する専門家からも「これは奇跡の湯ですよ」と評されたという。

さらに特筆すべきはpH5・7という弱酸性の泉質だ。炭酸泉は一般にアルカリ性に傾きやすいが、泉岳舘の湯は健康な肌のpH(4・5〜6・0)に近く、炭酸の効能と美肌効果をあわせ持つ、極めて珍しい温泉なのである。
開湯から400年以上、地元では古くから「服用の湯」として飲み継がれてきた歴史を持ち、化粧品やビールの原料にもなるほどの純度の高さから飲泉も可能

実は地元の人々にとって、この湯がトップレベルの濃度を誇ることは長らく当たり前すぎて意識されておらず、専門家による科学的な裏付けがなされたのは2010年代に入ってからのことだという。四百年の歳月、自らの価値を知らぬまま静かに湧き続けてきた湯だったのである。
今年の春、大規模な改装を行い、7つの客室すべてに檜の内風呂を設けて天然炭酸泉を引き込み、集中管理された湯を他の宿泊客に気兼ねなく24時間いつでも楽しめるようになった。
冷泉で沸く同宿の湯は、季節に応じて36〜38℃に保たれており、まさに「不感温度のぬる湯×高濃度炭酸泉」を体現する湯と言える。
肌にまとわりつく細かな炭酸の泡に包まれながら、檜の香りの中で時間を忘れる贅沢は、何物にも代えがたい。炭酸泉で炊いた粥や、炭酸泉の地ビールなど、飲んで、食べて、浸かる楽しみ方ができるのも魅力だ。

現代の湯治場

泉岳舘

泉岳舘がある小坂温泉郷は、性格の異なる湯が一所に集まる珍しい温泉地でもある。透明な炭酸泉が自慢の湯屋温泉に対し、茶褐色の湯で「傷湯」の異名を持つ下島温泉、単純温泉や硫黄泉が楽しめる濁河温泉まで、御嶽山の懐に多彩な泉質が揃う。
湯治の効果をより深めたいなら、一日に複数回、ぬる湯に浸かるのがよい。朝は飲泉から始め、空腹時の一杯で胃腸を目覚めさせる。日中はゆったりと過ごし、夕方に再び湯へ。就寝の一時間ほど前に入浴を終えれば、温まった体のまま眠りにつくことができ、夏の寝苦しい夜にも質の良い睡眠をもたらしてくれるだろう。

泉岳舘は数百年続く湯治文化を受け継ぎながら、現在は若女将と大女将、家族が力を合わせて新しい時代の宿づくりに取り組んでいる。夏は涼やかな渓流の音に包まれ、秋には見事な紅葉が宿を彩るなど、四季の移ろいを存分に味わえるのも一軒宿ならではの魅力だ。
夏の疲れを溜め込む前に、長く浸かっていられる、この季節ならではの湯治を試してみてはどうだろうか。早朝や夕涼みの時間帯にぬる湯へ身を委ね、湯上がりは汗が引くまで体を拭かずに過ごす。それだけで、慌ただしい夏の暮らしに、静かな回復の時間が生まれるはずだ。

泉岳館の炭酸泉の入った東洋炭酸研究所の高濃度炭酸パック
ソーダスパフォーム プレミアム10,000

泉岳館HP
http://www.sengakukan.co.jp/

東洋炭酸研究所HP
https://www.tansanmagic-jp.com/

執筆
代田 多喜子

健康ジャーナルライター

ホリスティック・ ジャーナル

編集長 代田 多喜子

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